LM3909をディスクリートで作る
ある古い本に回路図があって、作りたいけれど部品が手に入らない。
そんな時、あなたなら、どうしますか。
私は、ローテクに走りました。
出会いは突然やってきた
ある日のこと、子供が小学校の図書館から電子工作の本を借りてきました。
その製作記事に出ていた回路を作りたいというのです。
豆電球を光らせるフラッシャー。
ICを使っているから部品点数も少ない。
楽勝だね。
ICの型番は、LM3909。どれ、ネットで調べてみるか。
入手不能
LM3909、私はこの型番は知りませんでした。
根がデジタル屋なので、アナログICは、555ぐらいしか使ったことがないのです。
555は、今でもセカンドソースがワンサカありますが、LM3909を調べてびっくり。
廃品種ですか?
googleさんに聞くと、かろうじて、ナショナルセミコンダクタの資料がありました。
- LM3909 LED Flasher/Oscillator
- 1.3V IC Flasher, Oscillator, Trigger or Alarm (AN-154)
これらの文書が、この先どこで入手可能であるか保証が無いため、
あえて、リンク先は、書いていません。
資料はあるけど、物が無い。どうしよう。
等価回路
アプリケーションノート(AN-154)には、1975年の日付が入っています。
つまり、30年以上も昔のICということです。
この当時のICは、おおらかなもので、
仕様書には、等価回路がばっちりと書かれていました。
このICも例外ではなく、等価回路が書いてあって、
AN-154には、ご丁寧に動作原理まで解説してありました。
これならいける、作っちまえ。
回路構成
回路は、部品点数もそれほど多くなく簡単でした。
トランジスタが5本、抵抗が9本の構成です。
等価回路には、6.5Vのツェナーダイオードも含まれていたのですが、
- 回路保護用らしい
- 手持ち部品が無かった
という二つの理由により
実装しませんでした。
トランジスタのうち、二つのPNPトランジスタQ2AとQ2Bは、
マルチコレクタで作られたペアトランジスタだったのですが、
別に厳密なペアにする必要は無いと考え、型番とランクだけ合わせています。
大きいことは、いいことだ
せっかくなので、同じ回路を親子競作してみました。
子供は4ミリピッチの蛇の目基板「AT-1」を
大人は2.54ミリピッチの万能基板「ICB-90」を使っています。
大人基板は、テストピンしか立てられませんでしたが、
子供基板には、6色のターミナルが堂々と並んでいます。
大きさに合わせて、トランジスタのパッケージも選びました。
使用トランジスタ
トランジスタ | 子供基板 | 大人基板 |
Q1 | 2SC1815 | 2SC2458 |
Q2A/Q2B | 2SA1015 | 2SA1015 |
Q3 | 2SD468 | 2SC3327 |
Q4 | 2SC1815 | 2SC2458 |
子供基板は格好重視、大人基板は密度重視の選択です。
動いた動いた
ターミナルに電池とコンデンサと電球をつないでやると、
みごとにピカピカと光りました。
やっぱり、回路が古くても原理はちっとも変わっていないんですね。
実用性は?
この基板は、ICの構成を忠実に再現したので、外付け部品が必要です。
そこで、あらかじめLEDを組み込んだ基板も作成して電池寿命を調べました。
その結果、3ヶ月以上は動作していたようです。
「ようです」というのは、3ヶ月は確かなのだけれど、
知らないうちに点灯しなくなっていたという意味です。
これだけ、長持ちなら十分に実用になるでしょう。
2005-11-18 ひとまず、完結。
Copyright (C) 2005 noritan.org ■