圧力センサの出力を調査する

圧力センサMPX5100Aを使って、 どんなアナログ出力が出て来るのかを実験で調べます。

完成写真

アジェンダ

簡単に使ってみよう

ひとまず、圧力センサを動作させます。 考えるのは、後からにしましょう。

使用する圧力センサ

Freescale社の圧力センサには、多くの種類がありますが、 ここで紹介する圧力センサは、MPX5100Aという製品です。

MPX5100A

この部品を選んだ理由は、以下の通りです。

電源電圧が5.0Vである。
圧力センサの電源電圧は、12V, 5.1V, 3.0V などの種類があります。 ここでは、一般的な電圧ということで、5.0Vの製品を選びました。
測定可能範囲に大気圧が入っている。
大気圧は、1000hPa(ヘクトパスカル)付近です。 通常の大気圧を測定する場合には、1000hPa近辺の値を測定できる製品が必要です。 この製品の場合には、150hPaから1150hPaの範囲を測定することができるので、 普通に発生する低気圧と高気圧にも対応できます。
気圧の絶対値が測定できる
圧力センサには、絶対値を測定するものと二つの気圧の圧力差を測定するものの 二種類があります。 今回の場合、大気圧の絶対値を測定します。
表面実装パッケージではない
表面実装パッケージは、アマチュアが使用するときには、まだハードルが高いでしょう。 この製品は、"UNIBODY"という2.54mmピッチの端子が並んでいるため、 通常のユニバーサル基板にも使用できます。

データシートは、Freescale社のWEBページ (http://www.freescale.com)で 入手することができますが、現在のところ英語の資料しかありません。

電源をつないでみる

圧力センサは、電源を供給するだけで動作します。 曲がりなりにも計測器を作るつもりなので、 電源には3端子レギュレータを使用し、006P電池から5.0Vを作りました。

実験回路1

左から、「電源回路」「圧力センサ回路」「ローパス・フィルタ回路」と並んでいます。 「ローパス・フィルタ回路」は、Freescale社のアプリケーションノート "AN1646 Noise Considerations for Integrated Pressure Sensors" を参考にしました。 抵抗器RLは、後の実験で使用するため、今は接続していません。

ハンディ・テスタでこの実験回路を測定したところ、 電源電圧4.96V、出力電圧4.10Vの値を得ました。 データ・シートの計算式から1022hPaという値が導き出されました。 折りしも1028kPaの高気圧が上空を通過していたので、正しい値が得られたと判断します。

出力特性

実験回路を使って、圧力センサの出力特性を調べます。 出力特性の結果から、マイコンへの接続方法が決まってきます。

出力インピーダンス

先の実験回路では、抵抗器RLを接続していませんでした。 この抵抗器は、負荷抵抗と呼ばれるものです。 ハンディ・テスタだけを接続した場合とマイコンを接続した場合では 出力電圧が変わってしまう可能性があります。 このため、どのぐらいの負荷抵抗に耐えられるかを測定する必要があるのです。

負荷抵抗を変えて、出力電圧を測定したのが、以下の表です。 計算方法は省略しますが、無負荷時の値との関係から計算した、 出力インピーダンスの推定値も併記しました。

負荷抵抗出力電圧推定出力インピーダンス
4.09-
100kΩ4.09
47kΩ4.09
22kΩ4.05217Ω
10kΩ4.00225Ω
4.7kΩ3.90229Ω
2.2kΩ3.72219Ω

すると、出てきたのは、「ローパス・フィルタ回路」に入れた220Ωの値でした。 つまり、この圧力センサの出力インピーダンスは、 ほとんど0Ωの理想的な状態と考えても良いということのようです。

ただし、「ローパス・フィルタ回路」を接続するとその分インピーダンスが増えるのも 事実です。 次の節で詳しい計算をやって、 マイコンと接続する方法を考えてみましょう。

Updated: $Date: 2007/01/20 10:03:38 $

Copyright (C) 2007 noritan.org ■