11号から14号では、 ID-01の腰の部分につけるバッテリーケースの製作をしました。 本技術解説では、このバッテリーケースついて考察を行います。
バッテリーケースに収納されている基板には、 電源系統の配線と信号系統の配線が同居しています。 まずは、電源系統から見ていきます。
バッテリーボックスには、8本の単三型乾電池が収納されます。 この8本の乾電池をバッテリーボックスで二つに分けて使用しています。
記号 | 乾電池本数 | 公称電圧 | 用途 |
---|---|---|---|
VDD | 3本 | 4.5V | マイコンおよび制御回路の電源 |
VPWR | 5本 | 7.5V | モータ駆動用の電源 |
一般に、モータを駆動するための電源は、多くの電流供給を必要とするため、 激しいノイズが発生することが予想されます。 また、モータを駆動するための電圧が高いほうが、 電流を低く抑えることができるので有利です。
このような理由から、マイコンなどの制御回路で使用される4.5Vの電源とは 別系統の7.5Vのモータ用電源が用意されています。
ここで供給される制御用電源の電圧は、公称4.5Vですので、 乾電池の終止電圧やNi-Cd充電池の電圧を考慮すると 3.3V程度にまで低下することが予想されます。 マイコンの最低動作電圧が2.7Vなので、このような場合でも、 十分に動作することができます。
この後の組み立てでは、 3V専用のHCS08シリーズマイコンなどが使用されているのですが、 そのような素子のためにいかに3V電源を作り出して供給するのか、 興味のあるところです。
バッテリーボックス内の乾電池は、 外部に露出している充電用コネクタと配線によってつながっています。 つまり、バッテリーボックスのスイッチをOFFにしていても 充電用コネクタにはバッテリーの電圧が印加されているのです。 そのため、ここにドライバなどの導体を突っ込まれると たちまちショートを起こし乾電池や配線などに大電流が流れて 事故につながるおそれがあります。
できたら、充電コネクタの出力にはショートおよび逆流防止に ダイオードを付けておいて欲しかったですね。
ロボット本体とバッテリーボックスは、 別の節の信号系統の解説で書いたように バッテリーボックス内基板のピンヘッダで接続される模様です。 しかし、このピンヘッダには電源を供給する端子が含まれていません。 つまり、バッテリーボックスから電源を供給する経路は、 ピンヘッダではないということです。
その他には、バッテリーボックスの上面に設けられた給電コネクタがあります。 給電コネクタは、16号の試験で使用されています。 しかし、ID-01の写真を見る限り、ロボットが自立して動作しているときには、 給電コネクタは使用されていないようです。
そうすると、別の配線で電源を供給することになるのですが、 基板上にはそんなパターンは用意されていません。 現状から考えられる解決法は、以下のとおりです。
さて、どれが正解でしょうか。
基板上には、信号系統の回路も組み込まれていました。
何のことはない、コネクタ間を配線でつないだだけでした。
バッテリーケース内の基板には、10ピンのボックスコネクタが接続されており、 この基板上のピンヘッダを介してロボット本体に接続されます。
このボックスヘッダは、バッテリケースの上面に露出していることから、 ロボットとの信号の入出力をするための端子であろうと理解しています。 どんな信号がつながるのかは、あとのおたのしみですね。
超音波センサを取り付けるための穴がバッテリーケースに用意されています。 これらのセンサからの信号は、いったんバッテリーケース内の基板に集められて、 基板上のピンヘッダからロボット本体に供給されます。
どんなインターフェースかは、今のところは知る由もありませんが、 超音波センサを組み込む際に、 バッテリーケースを再び開けなくてはならないのだけは確実でしょう。
2006-10-23 公開。